事業計画書とは?

(1)事業計画書とは?

事業計画書は、あなたの頭の中にある夢・アイデアを「文字」「数字」「図表」を使い、目に見えるものにしてくれる経営に欠かせないツールです。起業や新規事業のアイディアは、ふと思いつくことがありますが、それを実際に事業に結び付けるまでは想像以上の努力が必要です。
多く起業家の方は、アイディア・想いが先行し、取り組もうとしているビジネスが本当に儲かるのか?、実行可能なのか?という点について、十分な検討を行わず、起業の世界に飛び出してしまうというのが現実なのではないでしょうか。
このような「アイディア」と「実行」の溝をうまく埋め、起業家・経営者を支援するのが「事業計画書」なのです。事業計画書を作成することで、次のようなメリットがあるといわれています。

・客観的な視点をもって作成された事業計画書は、経営者にとって、信頼できる「戦略地図」のようなもので、経営者が集中的に「がんばるべきポイント」を明確にしてくれます。
・実際に文章や数値に落とし込むことで、ぼんやり思い描いていた事業アイディアをより深いレベルで整理することができるようになります。
・「何をすべきか」をはっきりさせることができるため、スピード感をもって、実行にファーカスできます。

また、事業計画書は、一人で悩んで作るより、友人・同僚などの様々な意見・視点を取り込み、洗練させていくことが、事業を成功に導く秘訣といってよいでしょう。新規事業に取り掛かるときの一番の難敵は、起業家の心に芽生える悩み・恐怖です。自身に好意的な友人だけではなく、客観的な意見を言ってくれるプロのコンサルタントとブレストすることで、ビジネスアイディアに突破口を見出すことができることも少なくありません。「備えあれば憂えなし」は、起業にもあてはまりますので、事業計画書は、やるべきことを明確にし、最高のスタートダッシュをきるために不可欠なツールといえます。

(2)創業計画書とは何か?

創業計画書とは、一般に、起業家が作成する事業計画書のことを指します。起業家が最も利用する創業融資は、日本政策金融公庫が提供するもので、同公庫が融資申請にあたり、所定雛形の「創業計画書」の提出を求めていることから、「創業計画書」=「日本政策金融公庫の創業融資のための創業計画書」として、「創業計画書」という言葉が使われることがあります。
特徴としては、事業計画書の簡易版で、事業計画書の重要ポイントを1-2ページで要約している点が挙げられます。項目としては、会社の概要、ミッション、成功要因、製品概要、マーケットの分析、損益分析が含まれています。日本政策金融公庫の創業計画書も、A3見開きの1枚でまとめた様式を採用しています。
このようなシンプルな計画を作成するメリットは、全体を俯瞰でき、このビジネスは実際にやってみる価値があるか、さらに検討する価値があるかを知ることができることにあります。

(3)事業計画書の枠組み

事業計画書は、10-15の項目から構成されます。フォーマットは様々でありますが、最もよく使われるテンプレートでは、会社の概要、製品、市場分析、業績予測、役員メンバー、損益分析が必ず含まれています。あなたが計画を作る場合、計画書の構成は、読み手に応じてカスタマイズする必要があります。
ベンチャーキャピタリストなどの投資家に見せるのあれば、役員メンバーの構成が最も重要となってきますし、銀行から融資を受けることが目的であれば、財務情報の項目が重要となります。内部検討資料として作成する場合は、役員メンバーの情報などは社内で共有できている情報ですので、そのような内容は省略しても問題ありません。事業計画書の使用目的に応じて、計画書を適宜調整することが重要です。

(4)書式雛型に含まれる項目

重要な項目を漏らさず含めていれば、順番はそれほど重要ではありません。以下がオススメする目次です。

1.エグゼクティブ・サマリー:他の項目を全て書き終わった後に、要約として1ページにまとめる
2.会社概要:設立日、沿革、資本金、開業予定など
3.製品・サービスの概要:あなたが売ろうとしている製品・サービスについて。その製品で顧客がどのようなメリットがあるかについて具体的に説明する。
4.市場分析:参入しようとしている市場、顧客ニーズ、どの顧客をターゲットにし、どのように販売するのか。
5.戦略と実行計画:具体的に。各自の役割と実行予定日・予算額も記入。
6.経営チーム:役員メンバー、個人ごとの役割
7.財務計画:損益計算書、キャッシュフロー、貸借対照表、損益分岐点分析、財務比率など(計算の仮定も含めて)

(5)事業計画書で最も重要な点を見極める

会社の置かれた状況にもよりますが、一般的に、「キャッシュ・フロー」と詳細な「実行計画」が重要といわれています。キャッシュ・フローは企業の存続の生命線となりますし、資金繰りの計算を読み間違えて倒産というケースも枚挙にいとまがありません。「キャッシュ」と「利益」の言葉の違いもよく混同されます。「利益」があることは、必ずしも、銀行に「キャッシュ」が残っていることを意味しません。実際に、多くの会社が毎年「黒字倒産」に陥っています。ビジネスセンスのある経営者であっても、キャッシュ・フローという概念は、直感的に理解が難しいのです。

(6) 事業計画を作成する際に参考にできるものは?

実際の事業計画をみて、理想的な事業計画はどのようなものかを実感することが重要です。そして、事業計画書の雛形を入手し、まずは、思いつくまま、内容を埋めていきます。何を書けばよいかわからない場合は、事業計画書の例を参考にしながら、「借文」をして埋めていきましょう。参照できる記載例を見よう見まねでうめていけば、ある程度のレベルまで自身で作成することができるはずです。