(1)簡易版の事業計画書とは?

事業計画書は、読み手に応じてカスタマイズすることが大原則です。読み手の求めているものが、簡易的な事業の説明資料であれば、企業案内のパンフレットでよいかもしれません。読み手が事業の概要を把握することを目的として、事業計画書を求めることもあります。そのような場合に、詳細な事業戦略や月次損益分析を含めた30ページにもわたる事業計画書を渡すのは逆に迷惑になります。
ベンチャーキャピタル等の第三者の投資家から融資を受ける場合は、標準的な事業計画書の雛形を用いて作成するのが無難です。一方、金融機関からの融資の場合は、事業の将来性をそれほど厳密に検証する訳ではありませんので、簡易的な事業計画書を提出すればよいケースもあります。

(2)簡易版はどこまで簡易的でよいのか?

それでは、簡易版の事業計画書には、どのような情報を含める必要があるのでしょうか?簡易といって、情報をそぎ落とし過ぎるのも問題があります。事業計画書に最低限含めるべき項目については、一般にコンセンサスがあります。つまり、事業計画書を読む投資家や金融機関担当者は、エグゼクティブ・サマリーから始まり、会社概要、市場分析、製品、経営陣、戦略、財務データが含まれている事業計画書を読むことを期待しています。

(3) 項目の順番は重要か?

投資家に対して訴求力のある事業計画書を作成するためには、コンテンツの順番に配慮する必要はあるのでしょうか?主要なコンテンツが全て含まれているのであれば、項目の順番はそれほど重要ではありません。ただし、投資家も見慣れた順序がありますので、あえてそれに背く必要はないでしょう。以下、一般的な事業計画書の骨子をご紹介します。

(4)簡易版の事業計画書の骨子

1. エグゼクティブ・サマリー:1-2ページでハイライトをまとめ。最後に作成する。
2. 会社概要:設立年度、歴史、創業時の体制など
3. 製品・サービス:提供予定の製品・サービスのまとめ。顧客のメリットを強調。
4. 市場分析:市場規模の推定、顧客ニーズに応じた市場の細分化、顧客へのアプローチ方法
5. 戦略と実施計画:より具体的に。担当者と日付とその予算まで作成し、後日、振り返りができるようにする。
6. インターネット戦略:ウェブサイトの位置づけ、開発コスト、運営体制、チャネル・マーケティング戦略との関連性
7. 経営陣:組織と主要な経営メンバーの詳細を記述する
8. 財務分析:損益計算書、貸借対照表、キャッシュフローを含める

(5)素早く事業計画書をまとめるコツ

まずは、主要コンテンツのアイディアだしから始め、体裁を後で整えればよい。事業計画書の構成の順に書き始める必要はありません。箇条書きでポイントをまとめていき、全体として、整合性が取れ、具体的なアイディアを出すことができてから、事業計画の文章を書き始めることをお勧めします。

(6)グラフや表の重要性

事業計画書をより分かりやすく示すために、グラフや表も欠かせません。一番重要な数字は、キャッシュフローですので、決して省略してはいけません。通常、売上高予測と損益計算書を含めます。人員表、貸借対照表、比率分析、市場分析についても別途作成するのが一般的です。これらの票は、バーチャートやパイチャートを使いグラフィカルに表示するとより効果的です。