「起業したい」という想いが先なのか、「面白いアイディア」が先なのか、事業をスタートするには、どちらが欠けても成功はありえません。様々な経営者の自伝に目を通すと、偶然アイディアを思いついたという有名な経営者もいますが、ほとんどが、何百というアイディアを時間をかけて考え、試行錯誤の末、これぞというアイディアにたどり着いたケースが多いのではないでしょうか。
ソフトバンクの孫正義社長は、事業アイディア製造マシーンと呼ばれるくらい様々な斬新なアイディアで事業を拡大してきたことで有名です。孫社長の大学生時代に実践していた事業アイディア発想法が非常に有名です。それは、カードにランダムにキーワードを書き、ランダムに2枚、3枚のカードを選びます。選んだカードに書いてあるキーワードを組み合わせて、何か事業アイデアに結びつかないか、考えるというものです。これを毎日日課にして、米国留学中に、何百という事業アイディアを考え、実際起業をしています。
起業アイディアの発送方法は、様々なアプローチがありますが、以下は、起業家がアイディアを閃くために強い味方になるアイディア発想法です。

  1. あなた自身がイライラする不満や課題から発想する
  2. 社会の課題を解決したいという想いから考えてみる
  3. あなたが働く業界の課題から発想する
  4. コピーキャットアプローチ
  5. 最新テクノロジーから「次」を予想する
  6. 「儲かるネタ」から発想する
  7. ニッチ市場を突き詰める
  8. 最近イノベーションが起こっていない古い業界に新しいテクノロジーを使えないか感がてみる
  9. 世の中で高級もしくは高いと認識されているものを安く提供できないか考えてみる
  10. お店で店員さんやお客さんに話しかけてみる
  11. 新興国などを複数国を旅行してみる
  12. アメリカやヨーロッパに暫く住んでみる
  13. お金の持ちが面倒だと感じることを考える
  14. 起業したいモードを常に維持する
  15. 磨けば光るガラクタビジネスから考える
  16. 人間の快楽・楽しみの本質を追求してみる

あなた自身がイライラする不満や課題から発想する

ビジネスアイディアの古典として有名な「穴あきオタマ」の発明の経緯を振り返ることで、アイデア発想の基礎を学ぶことができます。「オタマ」とは、スープなどをすくう調理器具ですが、正式な文献でリサーチをしたことはありませんが、伝え聞くとこによると、昔、味噌汁をすくうときに、具がちゃんとすくえなくて、相当イライラしたんだ男性がいたそうです。そんなとき、その男性は、オタマにグリグリ穴を開けて、具だけをきっちりキャッチできるオタマを自ら作りだしたそうです。その後、そのアイデアが評判になり、量産化へ進展し、最終的には、特許で相当儲けたという話があったように記憶しています。味噌汁の具をすくいたいというどうでもよい身近にある不満ですが、自身が感じる不満や課題は、世の中の大多数の人にも共通するもので、それを解決できるのであれば、相当規模のマーケットが見込めます。最近のケースだと、仕事の効率を高めるために、「自分でソフト作っちゃった」という人が結構いますが、身近な問題から発想するのは、マス(大衆を対象とした)のビジネスにつながり易いアイデア発想法といえるでしょう。

社会の課題を解決したいという想いから考えてみる

電動バイクでシェアナンバーワンのテラモーターズのビジネスアイデアは、アジアでの大気汚染を改善したいという社会の問題を起点とした発想があります。実際、インドやベトナムに行ってみますと、バイクが現地人にとって主要な移動手段であるのですが、品質の悪いガソリンで走っているため、排ガスによる大気汚染が深刻な問題となっています。問題の本質は、ガソリン車の排ガスですので、ガソリンバイクを電動バイクに置換し、クリーンエネルギーの社会へ移行できれば、環境汚染の問題が大きく改善される可能性があります。そして、価格面でも合理性がある解決策であれば、電動バイクの需要も拡大することが見込まれます。このように、社会の課題を解決する視点でビジネスアイデアを考えると、市場規模の大きなビジネスへの可能性を見出してくれます。

あなたが働く業界の課題から発想する

起業して成功する人のパターンとして、前職の企業の下請け業を担うというものがあります。例えば、コンサルティングファームでは、英語を使い、英文レポートの作成や海外オフィスと英語のメールのやりとりをしますが、多くのコンサルタントは英語でのプロフェッショナルライティング(報告書やメールに使う英文を書く技術)を苦手としています。社内に英語ができるコンサルタントがいるものの、大変忙しいため、研修講師として英語ライティングを教える暇もありません。そのため、コンサルティングファームでは、社員であるコンサルタントに英語ライティングを教えたいのに、それを教える人材もいないし、研修教材もなく、困っているのが実態です。あなたが英語のできるコンサルタントであれば、これを事業機会と捉え、「プロフェッショナル・英文ライティング」の会社を設立し、コンサルティングファームに特化した英語ライティング教育サービスを提供を始めると成功の確率が高くなります。なぜなら、あなたは、業界知識に通じている上、人的ネットワークを有しているため、開業して直ぐ大企業を顧客として獲得することが可能になるからです。

コピーキャットアプローチ

コピーキャットとは、いわゆる「パクリ」「アイデア盗作ビジネス」のことです。聞こえは悪いですが、世の中に溢れているサービスのほとんどは、アイデア2次利用だといっても過言ではありません。SNSのFacebookが誕生する前に、類似のソーシャルメディアサイトはアメリカでも存在していましたし、現実のビジネスの世界は、コピーの応酬の中で、早く顧客基盤を固めた者が勝者になるというものなのです。
日本でビジネスをする上では、アメリカで流行っているビジネスを輸入し、日本流にカスタマイズすれば、競争優位を獲得できるというアプローチがあります。
近年、日本でクレジットカード決済端末ビジネスを立ち上げた会社がいくつかありますが、これらは、アメリカで人気を誇っていた”Square”の日本アレンジビジネスですし、アメリカで流行ったビジネスを日本に輸入するタイムマシン経営は、今でも十分に通用するようです。
例えば、アメリカ注目ベンチャー100みたいな特集記事は山のようにありますので、そのような記事を見ながら、日本に輸入した場合、消費者に気に入ってもらうには、どの点を日本流にアレンジしなければいけないのかを考えることがコピーキャットアプローチで競争優位を確立するポイントではないでしょうか。

最新テクノロジーから「次」を予想する

テクノロジーの進化に応じて、様々なキーワードが飛び出してきます。近年ですと、「ビッグデータ」「クラウド」「人口知能」「ips細胞」などなど。こういった技術革新を伴うキーワードには、非常に大きなマーケットが期待できますし、コアサービスの周辺も盛り上がってくるはずです。最新テクノロジーと何かを掛け合わせれば、かなりユニークなサービスのアイデアが生まれてくるかもしれません。
例えば、「ビッグデータ」という言葉が流行りだしてから、「データサイエンティスト」と呼ばれる統計やデータ解析のスペシャリストたちが、マーケティング業界で引っ張りだこで、高額報酬で引き抜き合戦が行われています。これに目をつけたアメリカのある会社は、「データサイエンティストの検索サイト」を作り、データサイエンスのクラウドソーシングビジネスで成功を収めています。このように、最新テクノロジーの周辺には、面白くて儲かる話が盛りだくさんあるのではないでしょうか?

「儲かるネタ」から発想する

儲かるネタは、大きく分けると2つ。①単価安い×マスと②単価高い×ニッチのビジネスです。前者①は、モバイルゲームをイメージするとよいでしょう。例えば、大ヒットしたパズドラは、ダウンロード数が数千万ですので、一人月額100円課金だとしても、とんでもない収益があがることになります。これが、「チャリンチャリン商売」といわれるゆえんです。
後者②は、お金持ちターゲット商売です。たとえば、税理士業界においても、資産家をターゲットとした相続税のビジネスは儲かるといわれ、多くの税理士がポートフォリオに入れているサービスです。
お金持ちという視点から、「ドクター」と「製薬会社」をターゲットとしてネットビジネスを展開し、大成功した「M3(エムスリー)」という会社があります。「M3」は、ドクター向けの医療情報提供Webサービスを展開しています。同社は、多数のドクターを自社サイトへ誘導し、会員登録してもらうことで、製薬会社にとっての新しいマーケティングチャネルを構築することに成功しました。ドクターを囲い込み、製薬会社に対し、ネット上のドクターとのチャネルを売るというビジネスモデルです。ドクターと製薬会社は、事業者としては、最もお金をもっているセグメントです。業界で最もお金をもっているセグメントにフォーカスして、独占的地位を築く。これほど、儲かるビジネスはありません。

ニッチ市場を突き詰める

ニッチ市場とは、特定の客層のニーズに向けられたサービスの市場のことを指します。通常、既存の大手企業が進出していない事業領域であることから、小規模の事業者が、高いシェアを持ち、かつ、高い利益を維持することができる市場です。会計業界の例を挙げると、「米国日本法人のUSGAAP(米国会計基準)により作成された決算書を日本基準に変換するサービス」という一般の方が、聞いても意味を理解できないようなマニアックなサービスがニッチ市場のサービスです。
ニッチ市場を見つけるためには、事業領域の「掛け算」で探していくことになります。例えば、英語事業であれば、「TOEFL×スピーキングセクション×大学院受験生向け」と定義すれば、このようなサービスを利用する人はかなり限られた層になります。しかし、大学院を受験する層は、年収も高く、大学に合格するためには、TOEFLでの高得点が不可欠であり、実際、TOEFLの中でも、スピーキングセクションで点数が上がらず困っているのです。「TOEFLのスピーキングの点数が上がるんだったら、いくらでも払う」という人が実際いるのです。
このようなニッチなニーズに気づくことができれば、価格競争が繰り広げられる英語ビジネス業界においても、無為な価格競争に陥らず、高い価格でサービスを提供することが可能になります。社会人向けに、TOEFLのスピーキングを提供している英語教師は、日本全国を探しても、ほとんどいないはずですので、魅力的なニッチ市場を見出せれば、小規模ながら、儲かるビジネスを行うことができます。

最近イノベーションが起こっていない古い業界に新しいテクノロジーを使えないか感がてみる

会計ソフト業界は、1980年台にオフコンの計算ソフトが広まって以降、Windows用パッケージのソフトとして、価格低下とともに、中小事業者に爆発的に普及してきました。しかし、90年の後半からパッケージソフトが発売されてからは、基本的には会計ソフトの仕組みは変わらず、ソフトメーカーが、漸進的な機能強化を行い、マーケットシェアの獲得に凌ぎを削ってきました。
2009年辺りから、「クラウド技術」がIT業界注目キーワードとなってきましたが、大手会計ソフトメーカーは、「技術力はあるのだが、情報漏えいの観点から不向き」と決め付け、クラウド会計の開発に踏み切らなかった会社が多くあると聞きます。
しかし、2013年に入り、Freeeやマネー・フォーワードが、ベンチャー企業として、クラウド会計サービスを立上げ、中小事業者向けに提供を開始しました。会計という超機密情報をクラウドストレージに置くということは、これまで、多くの事業者にとって、心理的な抵抗があるものでした。しかし、クラウドが一般に普及するにつれ心理的な抵抗も薄れ、一部のアーリーアダプターを中心に、面倒な入力作業を省力化できるなら、クラウド会計に移行したいという声を聞くようになってきました。このように技術革新は、消費者の常識も大きく変え、新しいサービスに対する許容度も高くなってきます。

世の中で高級もしくは高いと認識されているものを安く提供できないか考えてみる

高いものが安く手に入れば誰もが喜びます。実際、高級品を超低価格で提供できれば、爆発的な人気を誇るサービスになるに違いありません。このような経営の基本を忠実に実行に移したのが、「俺のフレンチ」の創業者である坂本氏です。坂本氏は、高級といわれいたフランス料理を5,000円で提供するビジネスモデルを構築しました。この価格を実現するために、坂本氏は、顧客にとって重要なのは、味と価格であるという点に着目し、それ以外の要素を徹底的に除き、さらに、原価率60%にする一方で、回転率を3回転まで高め、これまでの飲食業界の常識を覆すビジネスモデルを構築しました。
坂本氏は、価格とボリュームのトレードオフについて、絶妙なバランス感覚をお持ちのようで、もし、俺のフレンチの価格設定が10,000円であったら、ここまでの人気にはつながらなかったことでしょう。5,000円で高級フレンチというコンセプトとそれを実現する実行能力に長けた名経営者だからこそ成し得たビジネスモデルではないのでしょうか。

お店で店員さんやお客さんに話しかけてみる

「お客様の声は神の声」といわれるように、商品・サービスのユーザーは、改善アイデアや奇抜なアイデアの面白い発想をもっています。ある全国チェーンの居酒屋では、うどんとカレーライスを別々のメニューで提供していました。あるとき、お客さんが、うどんとカレーがあるなら、「カレーうどん作れるでしょ」と店長に詰め寄り、店長も断りきれず、料理長に「カレーうどん」を作らせました。このカレーうどんは、後にアルバイトの中でも、まかないメニューとして評判になり、本部に提案し、実際のメニューに取り入れられることになりました。このように、お客様は、製品開発の当事者が気づかないようなアイデアをいっぱいもっています。店舗でお客さんに話かけるのは勇気がいりますが、聞いてみると、意外にいろんな情報を教えてくれるものです。

新興国などを複数国を旅行してみる

ペルーを旅行すると、他国では目にしない、インカコーラと呼ばれる黄色い「ライフガード」や「ccレモン」のようなテイストのコカ・コーラ製品を目にすることができます。
また、インドを旅行すると、モノが小分けで売られており、ポテトチップスだと、一番小さいのは、日本のポテトチップスの1/10くらいのサイズで、価格も20円程度で売られていることを発見することができます。
このように、新興国では、アメリカ、日本、ヨーロッパではない発想が全く異なるビジネスモデルで成功しているケースがあります。そのようなビジネスモデルは、アイデアの宝庫で、新興国の目新しいカルチャー、食べ物、自然と見えることが完成が研ぎ澄まされて、ふと面白いアイデアが浮かぶことがありそうです。

アメリカやヨーロッパに暫く住んでみる

起業国家アメリカに住んでみると、これを日本に持ち込むといけるんじゃないというアイデアが次から次へとわいてきます。起業やローカルビジネスを好意的に受け止める国ですので、面白いサービスを目にすることが多々あります。
例えば、アメリカのファストフードで人気の「チポトレ」というメキシカンファストフードチェーンがあります。メキシコ料理は、あまり日本人にはなじみがありませんが、アメリカに滞在していると多くの日本人がメキシコ料理のファンになるといいます。「チポトレ」のメニューは、ブリトー、サラダボール、タコス、ボールの4種類。乗せる具材は、店員と相談しながら、自分オリジナルのブリトーなどを作ることができます。また、会社のポリシーとして、オーガニックヘルシーなフードを追求しており、出元をトラッキングできない食材は使わないという徹底ぶり。この「チポトレ」は、ファストフードのなかでは、高価格帯ながら、全米で大ヒットし、全米各地で1,000以上の店舗を構えるまでに成長しています。
「オーガニック」x「高級ファストフード」x「メキシカン」という組み合わせは、日本ではユニークであるため、事業展開すれば、受け入れられる可能性は十分にあります。
「チポトレ」のようなお店のよさは、ネットでアメリカの情報を探してもなかなか実感できないものです。現地に住んで初めて、見出すことができる事業機会ということで、アメリカに住んでみるというのも、アイデア発想の一手法であると思います。

お金の持ちが面倒だと感じることを考える

ある業界で大成功を収めた中小企業の社長に、成功の秘訣を伺ったところ、「お金持ちの後ろを付いていけば、お金を落としていってくれるんや」といわれことがあります。最初は、その真意が分からず、お金持ちは、お金をばら撒くので、そのおこぼれをもらうという意味と捉えていましたが、お金持ちの方々は、実のところ、お金にかなりシビアで散財は意外としません。しかし、お金持ちの行動をつぶさに観察しますと、お金持ちが“自分でやると面倒で価値のあると感じること”に対して、委託料として気前よくお金を払ってくれることに気づきました。
法人でお金持ちといえば、大企業や外資系企業。これらの企業を顧客として、成功しているサービスの例として、海外の大学に留学している学生向けのキャリアイベントとして有名な「ボストンキャリアフォーラム」というイベントがあります。このイベントには、毎年200社以上の大企業や外資系企業が、海外の大学を卒業する優秀な学生を採用しようとブースを設け、参加しています。大企業各社が、海外の大学を卒業する学生を自ら募集し、個別面接するのは、手間がかかる上に、大量の海外留学生に短期間でコンタクトができるチャンスはなかなかありません。しかも、優秀な人材が集まってくるという点で、採用担当にとって、これほど、価値のある機会はありません。
お金持ちにとって面倒なことを代行し、すごく感謝されるサービスはないかと考えてみることは、アイデア発想の面白い視点であると思います。

起業したいモードを常に維持する

例えば、ラーメン屋でご飯を食べているときも、「このラーメン屋さんの1日の売上はいくらくらいかな?」とか「このお店の賃料を考えると、損益分岐点は、一日100人くらいのお客さんが必要だな」といったことを常に考えていると、ビジネスの感覚が研ぎ澄まされて、新しいアイデアを思いつきやすくなります。
起業モードの人と話すと、日常会話のなかでも、「そのアイデア儲かりそうだね」とか「この業界では難しいけど、違う業界だとうまくいきそうだね」という発想がでてきます。つまり、起業モードに入っている人は、アイデアの発想と事業機会の評価を瞬時に行うため、短期間で大量の事業評価を行っているのです。趣味が、起業とか、自称シリアルアントレプレナーという人は、毎日アイデア千本ノック状態ですので、アイデア発想基礎力が相当高いといえるのではないでしょうか。逆に、本気で起業を目指すような人は、このような「趣味=起業」といえるレベルまで、常時起業モードを維持すべきかもしれません。

磨けば光るガラクタビジネスから考える

ビジネス基本は、安く仕入れ、高く売る。この究極の形態が中古事業です。例えば、「中古オフィス家具」や「古本事業」がそれにあたります。ビジネスモデルとしては、中古品をほぼタダで仕入れ、磨いたり補修することで、新品同様な見た目に変えます。そして、価格としては、新品の半額として販売すれば、喜んで飛びつく消費者がいます。調達コストはほぼタダですので、利益率はすごいことになります。
レンタル、リース業もまさに同様のコンセプトで、一回貸したものを再度改修し、キレイに磨いて次の消費者に貸す。これを長く続けることができれば、利益率がグンと高くなります。
このように、ビジネスの基本に戻り、安く仕入れ、磨いたり補修をして、高く売れる商材はないかという視点で発想すると面白いアイデアが浮かぶかもしれません。

人間の快楽・楽しみの本質を追求してみる

爆発的な人気を誇った「パズドラ」と「黒猫のウィズ」の共通点を探ってみると、ゲームユーザー自身の頭の良さ・スキルが、そのまま、攻撃力に反映させることができるという点が挙げられます。これまでのロールプレイングゲームでは、ユーザーが攻撃ボタンを押しても、その攻撃力は、選択したコマンドによってほとんど決まっており、ユーザーの能力は全く反映されません。一方、「パズドラ」では、ぷよぷよのノリで、何連鎖できるかが、攻撃力を決めます。例えば、5連鎖できるテクニックが攻撃力に反映されると、ユーザーは、あたかも、「自分のパズルテクがすごいから、相手を倒せているんだ」と自身の能力に酔いしれることができます。これは、実のところ、人間の欲求の一つで、それをゲームに組み込むことができたというのが、「バズドラ」や「黒猫のウィズ」のヒットの秘訣であると感じます。
人間の快楽の本質を探すには、心理学の本などを読んで、そこから、ビジネスにつながるアイデアはないかと考えてみるとよいのではないでしょうか。