投資する価値のある事業であるかを検証するための5つの質問

1、市場機会は十分にあるか?

・仮定:市場の課題とその解決を望む潜在的な顧客の存在
・市場性を裏付ける詳細なエビデンス
・市場規模の簡易的な測定

2.実践可能な解決策であるか?

・顧客が受け入れるソリューションのスペック
・ソリューション案
・技術的な実行可能性

3.継続的に競争優位を構築できる基礎があるか?

・競争優位を構築できる十分なバリュープロポジション
・製品・サービスのユニークさ
・競合からの想定される反撃

4.商業化を実行できるチーム構成になっているか?

・ベンチャーを成功させるために必要な技術、経験、リレーションは何か?
・どのようにチームに必要な人員を集めるか?

5.リスクとリターンは、投資家にとって魅力的に移るか?

・3-4つのシナリオを作り、実際の財務的な予測も立ててみる
・可能性の高いシナリオはどれか?その判断の根底にある仮定は何か?

上記の質問に自信をもって答えることができたら、あなた自身をこの事業に投資する価値があると説得できることでしょう。この確信をもつ行為が、実際に、投資家、潜在的な顧客、従業員、共同創業者などを説得するための最初のステップなのです。

市場機会についての質問

起業家は、製品のアイディアや技術からスタートし、次に「この製品に対する市場機会は存在するのか?」と考えをめぐらせます。そして、この市場機会を測定することができるレポートやデータを探そうとします。一部の起業家は、このアプローチで事業を開始し、成功することもありますが、それは、運の要素が強いといわざるを得ません。
市場機会の裏には、必ず、満たされないニーズや解決が望まれる課題が存在するのです。事業機会を探すときには、製品アイディアからスタートするのではなく、ニーズや課題からスタートするのです。これが、事業機会を探すときの一番重要なポイントです。

  1. 環境:潜在的な顧客が属している環境はどのようなものか?
  2. ニーズ/課題:あなたが見出したニーズや課題は何か?できるだけ深堀りして具体的な特徴を挙げてみよう
  3. 潜在顧客:あなたが見出したニーズや課題を抱える顧客層について特徴を挙げてみよう。顧客層がそのようなニーズや課題を抱えている根本的な原因を探ってみよう。
  4. 例を挙げる:あなたの仮説を裏付ける具体的な例を挙げてみよう
  5. セグメント:潜在的な顧客層の属性に、特徴的な相違は存在するか?何らかの切り口により、潜在顧客をさらに細分化することはできないか?
  6. 価値提案:市場のニーズや課題はどれほど切実なものであるか?潜在的な顧客は、ニーズや課題を明確に認識しているか?解決策の価値を構成している基礎的な要因は何か?
  7. 購入プロセス:潜在的な顧客はソリューションをどのように購入するのか?誰が購入の意思決定をするのか?他者の承認が必要か?意思決定に影響を与える人はいるのか?予算承認が必要か?意思決定にはどれほど期間がかかるのか?あなた自身が顧客と直接やりとりができるのか、それとも、販売店ぱーとなーが顧客との関係をにぎっているのか?
  8. バリューチェーン:ニーズや課題を解決するソリューションは、他の製品・サービスとの関連性はあるのか?あなたのソリューションは、単独で購入されるのか?それとも、他の製品・サービスの一部の要素として購入されるのか?後者であれば、誰がその製品・サービスのサプラヤーであるのか?あなたのソリューションは、どのようにして他の製品・サービスに組み込まれるか?全体をまとめてパッケージで販売している業者はどこか?バリューチェーンの中で、独占ないし寡占の特徴がある部分はあるか?あなたのソリューションは、どのようにしたら、バリューチェーン内の独占・寡占業者と提携を組むことができるのか?
  9. 阻害要因:潜在的な顧客がソリューションの利用や購入をおもいとどませる要因はなにか?ソリューションは産業の秩序を破壊するようなものか?産業のプレイヤーの中で、脅威を感じるものはいるか?ソリューションは、新興の産業、技術、製品に依存しているか?
  10. 簡易市場規模測定:何社/何人が、あなたが特定したニーズや課題を抱えているか?ある会社内では、その課題はそれほどの従業員にとって解決したい問題なのか?ソリューションの浸透率や使用頻度という点について特段の考慮が必要か?手元にある情報で、市場規模の概算は可能か?市場規模算定にあたってのロジックとその背後にある仮定は何か?

実践可能な解決策についての質問

ソリューションの実現可能性を検討する上では、まず、顧客の視点に立ち、顧客が受け入れ可能なソリューションのスペックは何かを十分に理解することが重要です。一方、技術サイドからは、顧客が求めるスペックを既存の技術で達成することができるかということを検討しなければなりません。以下の質問リストを使い、
ソリューションの実現可能性を検討することができます。

  1. ソリューションのスペック:ソリューションの仕様は、課題の性質、顧客層、顧客が属する環境など様々な要素を考慮し、決定されます。具体的には、コスト、機能、大きさ、効率性、使いさすさ、スタイル、パフォーマンスなどです。潜在的な顧客に利用してもらうために、最低限満たさなければならない重要なスペックは何でしょうか?
  2. ソリューション案:顧客に実際に届けるソリューションは何か?この段階では全ての点で詳細に詰める必要はありませんが、重要な要素については、網羅的に完璧を目指して考えることが重要です。
  3. 技術:ソリューションに含まれる新規技術や確立していない技術はあるか?
  4. 実行可能性:ソリューション案が想定したスペックで実際にデリバーできると考える証拠は何か?詳細を詰められていない大きな不安要素はあるか?
  5. 量産化:利益を出すためには量産化が必要か?量産化のために信頼できる生産体制は確保できているか?小規模生産でも粗利ベースでプラスを維持できるか?生産を拡大しても、間接費を一定に維持できるか?
  6. 試作品:試作品は、ソリューション案をテストするために有効なツールか?どのような試作品が適切か?試作品を作成する計画を作成し、試作品完成のための期間とコストを見積もりましょう。

継続的に競争優位についての質問

 

  1. 現状のソリューション:潜在的な顧客は、あなたの認識したニーズや課題に対して、現状ソリューションを有しているか?具体的にそのソリューションんはどのようなもので、欠点は?潜在的な顧客は、既存ソリューションの欠点を認知しているか?
  2. 直接の競合:直接的に競合する企業は存在するか?その会社の強みと弱みは何か?
  3. 代替品:あなたの認識したニーズや課題に対する代替となるソリューションは存在するか?その代替ソリューションの強みと弱みは何か?
  4. 競争優位:あなたのソリューションが競争優位を構築できると考える根拠は何か?顧客に与える価値はどのようなものか?
  5. ユニークさ:あなたのソリューションの優位性はユニークか?そして、優勢性は著作権などの保護されているか?
  6. 競合からの反撃:競合になりそうな会社はどのような会社か?想定される競合からの反撃は?その影響は?当社のソリューションに対する新たな代替品はどのようなものが想定され、それは当社へどれほど影響を与えるのか?

創業チームについての質問

高度な技術と魅力的な市場機会。この2つがあったとしても、事業の成功は全く保証されません。技術と市場機会を結びつけ、事業を立ち上げるためには、事業プランにフィットしたチームメンバーが不可欠です。以下の質問リストは、創業メンバーをどのような構成にすべきか考える上で非常に有効です。

  1. スキル:あなたが見出した事業機会を形あるものにし、ベンチャーを成功に導くために、どのようなスキルが必要か?一般的なベンチャーを成功させるためにビジネススキルも当然必要ですが、あなたのベンチャーにとって、ユニークなスキルセットに注目して考えることが重要です。
  2. 経験:創業チームに欠かせない特殊な経験はありますか?なぜ、特殊な経験が必要で、それをどのように適用していくと考えていますか?
  3. 人的関係:ベンチャーの成功に欠かせない顧客、サプライヤー、パートナー、他の業界との特別な関係はありますか?
  4. タイミング:チームメンバーを集める全体のスケジュールはどうするか?
  5. 募集媒体:どの媒体を通じてチームメンバーを募集するか?

リスクとリターンについての質問

リスクとリターンを明確に定義することは、財務のポイントから事業機会を評価することになります。以下の質問リストは、あなたの事業に投資すべきかどうかを検討する上で重要な示唆を与えてくれます。

  1. リスクの特定:あなたのベンチャーにとって、主要なリスクは何ですか?(顧客/市場リスク、技術上のリスク、競争/規制上のリスク、マクロ経済上のリスク)それぞれ、リスクを定量化できますか?
  2. リスク管理:あなたはどのリスクをコントロールできますか?何らかの施策を行えば、リスクを低減することは可能ですか?どのリスクが外的要因に左右されますか?リスクに対応するために、ビジネスモデルを調整することは可能か?
  3. シナリオ:ベンチャーのシナリオを3-4つ作成する。シナリオごとに明確な仮説を作成する。
  4. 財務予測:それぞれのシナリオを数値に落とし込む。ボトムアップ(数字の積み上げ)とトップダウン(市場規模xマーケットシェアで売上を予測)のアプローチそれぞれで試算を行い合理的な数値を使用する。この段階では、ラフな計算でよいが、整合性のある予測を心がけるとよい。
  5. 可能性の高いシナリオ:可能性の高いシナリオを特定するために、それぞれのシナリオを評価する。その判断の根底にある仮定は何か?