起業に関わらず、事業を行っていると、様々な機会で事業計画書を利用することになります。読み手に応じて、事業計画書をカスタマイズする必要はありますが、基本構成は、使用目的に関わらずほとんど変わりません。事業計画書をいったん作成すれば、様々な機会に活用することができますし、資金調達から経営改善、さらには、事業提携の場面にも、力を発揮してくれます。
以下、事業計画書を活用できるケースについて、いくつかご紹介します。

(1)社内の目標管理

事業計画書は、事業経営をする上での地図もしくはコンパスのようなものです。計画書なくしては、暗中模索、五里霧中の状況で、地に足の付かない中途半端な経営をしなければなりません。事業計画書をもとに、目標を定め、さらに、優先順位を決め、キャッシュフローを生み出していく。そして、従業員と事業計画書を共有して、同じベクトルに向かって力を発揮する。これが経営のあるべき姿なのです。

(2)銀行の融資申請

通常、ほとんどの銀行が、融資申請にあたり、なんらかの事業計画書を要求します。フォームや項目の指定は通常ありませんが、最低限、融資担当者に対して、「融資を返済することが可能であること」を説得するだけの材料を事業計画書に盛り込む必要があります。

(3)ベンチャーキャピタルから資金調達をする場合

計画書のみで、ベンチャーキャピタルから投資を勝ち取ることは困難ですが、それがなければ、そもそも投資家から興味を持ってもらう土俵にも立つこともできません。投資家は、あなたの会社のチーム、アイディア、過去の実績、市場性、技術力をなどあらゆる要素をみて、最終的に投資の判断を下すのです。

(4)事業提携の合意

事業提携を行う際、提携パートナーと相互理解を確かめるために事業計画を策定することがあります。事業計画書を見ることで、お互いが目指すビジョンが一致しており、シナジーで得られる関係であるのかを確認することができます。

(5)経営メンバーと相互理解するために

起業後、実際に会社経営を行うと、様々な問題に振り回されます。また、事業チャンスを掴むために、目先の利益に目がくらみ新しい事業に手をだしてしまうこともあります。そんなとき、あなたはスタート地点を振り返って、本来やろうとしていたことは何か、原点に立ち返って、自分を客観的に見据えることができるでしょうか?経営を支えるあなたの仲間は、あなたのビジョンを共有できているでしょうか。そのようなとき、事業計画書を作成することで、創業前に抱いていたあなたの熱い思いを自身で振り返ることもできますし、仲間とも共有することもできるのです。

(6)事業売却のとき

事業を買収する側は、通常、事業の将来性を検討するために、ビジネスDD(デューデリジェンス)を実施します。その際、買収側は、経営者へのインタビューを実施したり、事業計画書を精査することにより、会社のビジネスの将来性の検討材料とします。

 

古典的な事業計画書の使用先は、投資家に対する事業の説明であったり、ローンの申請でありました。それにとどまらず、近年では、従業員、パートナー、家族、コンサルタントとのコミニケーション手段としても活用されています。さらに、M&Aにおける企業評価、税務対策、成長戦略、不動産の活用方法を検討する際にも活用されるケースが増えてきています。